お月見にススキはなぜ飾る?その謎を解き明かす秋の夜長の物語

秋 ‐Autumn

秋の訪れとともに、我々の心は自然と月を見上げる季節、お月見の季節へと向かいます。

特に子供たちは、お月見団子やススキの飾りつけを楽しみにしていますよね。

でも、なぜお月見にススキを飾るのでしょうか?

今回は、その疑問にお答えします。

お月見にススキはなぜ飾る

お月見といえば、満月を仰ぎ見ながら美味しいお団子を味わう、というイメージが一般的ですが、その際に必ずと言っていいほど見かけるのがススキの装飾です。

では、なぜ我々はお月見の際にススキを飾るのでしょうか。

お月見は、古代から続く秋の収穫を神々に感謝し、また次の年の豊作を祈願するための儀式です。

その中で、ススキは「稲穂」を象徴するものとして位置づけられています。

稲の収穫が行われる旧暦8月15日の十五夜に、神々への感謝の意を示すために、稲穂を代替する形でススキが用いられたのです。

ススキは「イネ科」の一種で、その形状が稲穂が垂れ下がる様子に似ていることから、稲の代わりとしてススキを飾る習慣が広まりました。

さらに、ススキの葉は鋭い切れ味を持つことから『魔を払う力』があるとされました。

お月見で供えたススキはその後、魔を払うためのアイテムとして家の軒先に吊るしたり、庭や田んぼに立てる風習も存在します。

このような魔を払う力を持つススキを使うことで、一年間健康を保つという伝承もあります。

また、ススキを飾る風習は、江戸時代には関東地方を中心に行われていたようですが、現在では全国的に広まっています。

地域によっては、ススキではなく稲を直接飾るところも存在します。

ススキの飾り方や供え方については、後述しますので、参考にしてください。

このように、お月見にススキを飾る理由は、収穫への感謝と魔を払う意味が込められているのです。

そして、ススキは秋の風情を感じさせるアイテムとしても、お月見の風景には欠かせない存在となっています。

ススキの役割

ススキは、お月見の際に飾られるだけでなく、その存在自体にはさまざまな役割と意味が込められています。

その一つが、収穫の豊穣を祈るシンボルとしての役割です。

ススキはイネ科の植物で、その形状が稲穂に似ていることから、古くから豊穣の象徴とされてきました。

また、ススキは秋になると一面に黄金色に輝く姿から、豊かな収穫を予感させる存在ともされています。

さらに、ススキには魔除けの役割もあります。

そのため、お月見の際には邪気を払い、無病息災を祈る意味も込められています。

また、ススキは乾燥に強く、長期間色褪せることなく美しい姿を保つことから、長寿や健康を象徴する植物ともされています。

また、ススキは音を立てることから、風の音を伝える役割も果たしています。

風が吹くとススキが擦れ合って「サラサラ」という音を立てます。

この音は秋の風情を感じさせ、季節の移り変わりを感じさせてくれます。

この音を聞くと、自然と心が落ち着き、日本人にとっては秋の訪れを感じさせる大切な要素となっています。

ススキはまた、その美しい姿から詩や歌に詠まれることも多く、文化的な役割も果たしています。

例えば、古今和歌集には「秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ わが衣手は 露にぬれつつ」という和歌があり、ススキの美しさと哀愁を詠んでいます。

このように、ススキは見た目の美しさだけでなく、その存在自体が持つ豊穣の象徴、魔除け、季節の移り変わりを伝える役割など、多くの意味を持っています。

そのため、お月見の際にススキを飾ることは、これらの意味を込めて秋の訪れを祝う行事となっています。

ススキの飾り方

お月見の際にススキを飾るとき、その飾り方には特に決まりはありませんが、いくつかのポイントを押さえておくと、より美しく、また意味を込めて飾ることができます。

まず、ススキを選ぶ際には、茎がまっすぐで、穂がきれいに開いているものを選びましょう。

また、ススキは自然に生えているものを採ることが多いですが、採る際には自然環境を尊重し、一箇所から大量に採らないように注意しましょう。

ススキを飾る場所は、月見台や窓辺など、月がよく見える場所が良いとされています。

また、ススキは背が高いので、こぶりのものを選んで短くしたり、一緒に飾る花の重心を低くして安定感を出すと見栄えがします。

ススキを立てる数については、一般的には1本から3本が一般的です。

これは、ススキが稲穂を象徴するものとされ、1本のススキが1本の稲穂を表すと考えられているからです。

また、古来より奇数が吉兆とされているので、複数本を飾る場合は奇数本用意する家庭もあります。

ススキを飾る際には、その下に白い紙や布を敷くと良いとされています。

これは、ススキが神様の依り代(よりしろ)とされ、神様を迎えるための清浄な場所を作る意味があります。

また、ススキを飾った後は、お月見団子や季節の果物などを供え、家族で月を見上げることで、一層お月見の雰囲気を楽しむことができます。

このように、ススキの飾り方には特に決まりはありませんが、自然を尊重し、神聖な気持ちで飾ることが大切です。

そして、ススキを飾ることで、秋の訪れを感じ、家族でのひとときを楽しむことができます。

まとめ

お月見とススキは、古くからの日本の風習として、今もなお多くの家庭で行われています。

ススキを飾ることで、収穫の感謝と魔除けの意味が込められ、秋の風情を楽しむことができます。

今年のお月見は、この背景を思い出しながら、ススキを飾ってみてはいかがでしょうか。

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