桜は日本の国花とも言えるほど、春になれば美しい花を見せてくれます。
しかし、自分で桜の木を育てようと思っても、挿し木という方法はなかなか難易度が高いと言えます。
今回は、桜の挿し木に挑戦する方のために、どうやって増やすか、いつ行うかなどのポイントをお伝えします。
桜の挿し木の成功率
桜の挿し木の成功率は、多くの要因によって左右されます。
桜の挿し木の成功率は10%〜50%と言われています。
成功率が高い場合は、50%以上
成功率が高い場合は、50%以上とも言われています。
春から初夏にかけて、新芽が出始めた時期に挿し木を行うと成功率が高くなります。
また、健康で強い親木から挿し木を取り、根が十分に発達していることが重要です。
成功率が低い場合は、10%程度
成功率が低い場合は、10%程度とも言われています。
秋から冬にかけて挿し木を行うと、寒さや乾燥などの環境ストレスが影響して、成功率が低くなることがあります。
また、病気や虫害にかかっている親木から挿し木を取ると、根が弱くなって成功率が低くなることがあります。
成功率を上げるポイント
そのため、桜の挿し木を行う場合は、できるだけ健康な親木から挿し木を取り、適切な時期に行うことが重要です。
また、挿し木後は適切な管理を行い、水やりや施肥などをしっかり行うことも成功率を高めるために必要です。
桜の挿し木の成功率を上げる方法
桜の挿し木の成功率を上げるには、挿し穂の選び方が重要です。
挿し木をするときは、親株から切る枝の選び方がとても大切です。
しだれ桜でも他の桜でも、枝の選び方は同じです。
ここでは、枝を選ぶときに注意する5つのポイントをご紹介します。
また、親株から枝を切ったら、切り口に癒合剤や接ぎロウを塗っておきましょう。
これで親株が枯れるのを防げます。
新しく伸びた枝を選ぶ(6月〜7月)
6月~7月に挿し木をするなら、春に生えたばかりの緑色の新しい枝がおすすめです。
茶色くなって固くなった枝は6月~7月の挿し木には向いていません。
また、固い枝を切ってしまうと桜自体が傷ついて死んでしまう可能性もあります。
必ず緑色の若い枝を選んでください。
前年に生えた枝を選ぶ(2月〜3月)
2月~3月に挿し木をするなら、前年に生えた枝が良いです。
この時期は新芽が付いている枝を選ぶことが大事です。
しだれ桜などでは新芽と花芽が見分けにくい場合もありますが、その時は真っ直ぐ伸びている枝を選んでください。
太さ5mmくらいの成長した枝は体力があって根が出やすいです。
細すぎるよりも太めの方が挿し木に成功する確率が高くなります。
幹から出てきた胴吹き枝は最適
幹から直接出てきた胴吹き枝というものは成長力が強くて幹に栄養が行かなくなる恐れがあるものです。
見つけたら剪定しておかなければならないものなので、桜に負担をかけずに挿し木で使えます。
接ぎ木された桜だと台木から出てきた可能性もあるので気を付けてください。
虫食い穴や傷みの無い健康な葉
桜は害虫にやられやすく特に新芽は被害を受けやすいです。
切り取る枝は虫食い穴や傷み等無くツヤツヤした葉っぱ付きだと理想的です。
桜の挿し木における植え付けの際の注意点
挿し穂を選んだら、次は挿し木をするときに気をつけることを知りたいですよね。
ここでは、挿し木に成功するための3つのポイントをご紹介します。
準備するもの、やり方について参考にしてください。
時期
桜は品種によって咲く時期が違いますが、挿し木に適した時期も違います。
一般的な品種は、親株に負担が少ない時期(2月下旬~3月中旬)と、新芽が出て成長力が強い時期(6月~7月)の2回、挿し木できます。
しかし、河津桜やカンザクラなどの早咲き品種は冬に休まないので、6月~7月だけが挿し木できる時期です。
発根促進剤
桜は根が出るのが難しい植物なので、発根促進剤を使って根を出させる助けをしてあげましょう。
発根促進剤には2種類あります。
1つ目は「植物ホルモン剤」というもので、これは根を生やす作用があります。
2つ目は「活力剤」というもので、これは根を元気にする作用があります。
使うときは、まず植物ホルモン剤で根を出させてから活力剤で根を丈夫にして養分を吸収させるようにすると良いです。
用土
土も挿し木に大切な要素です。
普通の土ではなくて挿し木用の土を使う必要があります。
挿し木用の土と普通の土とでは何が違うのでしょうか。
- 新しく清潔な土
- 水分を保持する粒子状の土
- 養分が入っていない土
新しく清潔な土だとカビや病気にかからないですし、水分を保持する粒子状の土だと水切れしなくて済みます。
養分が入っていない土だと根が出る励みになります。
「腐葉土や肥料入り」という言葉に惑わされないように注意してください。
挿し木用の土はどこで手に入れる?
鹿沼土やバーミキュライト、ピートモスなどが挿し木用の土として使えます。
これらを自分で混ぜ合わせて作ることも可能ですが、面倒だったり場所が取れなかったりする場合はお店で売っている挿し木用土を買う方が楽です。
桜の挿し木の手順について
桜の挿し木は、簡単な方法で増やせるというメリットがありますが、細かい手順に注意しなければなりません。
桜の種類によっても発根のしやすさが違うので、ソメイヨシノやヤマザクラ系統など、成功率が高い品種を選ぶことも大切です。
以下に、桜の挿し木の詳しい方法を簡潔にまとめました。
必要なもの
桜の挿し木に必要なものは以下のとおりです。
・育苗ポット
・挿し木用培養土
・桜の枝
・発根剤
・切れるナイフ
・割り箸
挿し木の手順
土に水分を十分に染み込ませてから根を植えることが挿し木のコツです。
挿し木の手順を紹介します。
1. 挿し穂を作る
新芽や新葉がある10~15cmの枝を切り取ります。
水中で斜めに切り口を作り、2~3時間水に浸けておきます。
葉は下半分は全て落とし、上半分は半分ほどカットします。
2. 土を入れる
ポットに砂利と培養土を入れて水をかけます。
土はポット上口から2~3cm手前くらいまで入れます。
3. 挿し穂に発根剤をつける
斜めにカットした面に発根剤を塗布します。
塗り方は容器に書かれている通りにします。
4. 土に穴を開ける
割り箸で深さ6cmほどの穴を開けます。
垂直でも斜めでも構いません。
5. 挿し穂を植え付ける
4.で開けた穴に、優しく差し込みます。
間隔は4cmぐらい空けます。
6. 水やりする
鉢底から水が出るくらいたっぷり与えます。
7.日陰で育てる
室内など明るく湿度が高い場所で育てます。
桜の挿し木後の管理方法について
桜の挿し木は、直射日光を避けて明るい場所で管理することが重要です。
水やりは最初の数日間はたっぷりと行い、その後は少しずつ減らしていきますが、土が乾くことは避けましょう。
2ヶ月くらい経っても枯れなければ、発根に成功したと考えてもよいでしょう。
根の状態を確認したくなる気持ちはわかりますが、挿し穂を抜いたり動かしたりすると、根にダメージを与えてしまいますので、植え替えるまでは我慢してください。
3ヶ月目からは日光に少しずつ慣らしていきます。
半年後に鉢上げを行い、肥料を施して育てます。
ペットボトルを使って行う桜の挿し木について
挿し木に適した容器がない場合に便利なのが、ペットボトルを使う方法です。
水に強くて丈夫なので、挿し木の根づきに最適です。
また、どこでも手に入れられるので、気軽に試せるのが嬉しいですね。
ペットボトルで挿し木をする手順を説明しますので、興味があれば挑戦してみてください。
ペットボトルの加工に準備するもの
ペットボトルの加工に必要なものは以下のとおりです。
・ペットボトル(2リットル)
・カッター
・キリ(穴をあけるのに使う)
・ガムテープ
・ポットの作り方
ペットボトルの加工の方法
ペットボトルの加工方法を説明します。
1. 真ん中で切る
ペットボトルの中身を空にして、真ん中あたりで横に切ります。
刃物を使うときは、手に怪我をしないように注意してくださいね。
2. 穴を開ける
切ったペットボトルの下部に、キリで水が抜けるように穴を3~4個あけます。
穴は少し大きめでも構いません。
上部はキャップ付きのままで、何もしません。
挿し木に準備するもの
ペットボトルの挿し木に必要なものは以下のとおりです。
ペットボトルで作ったポット
赤玉土の小粒か市販の挿し木用土
桜の枝
発根促進剤
切れ味の良いナイフ
割り箸
挿し木の方法
挿し木の方法は、育苗ポットと同じですが、ペットボトルでは斜めに挿すのが難しいので、真っ直ぐに挿します。
1. 枝を切って挿し穂を作る
育苗ポットと同じように、新芽や新葉が残るように10~15cmに切ります。
水分が吸われやすいように水の中で切り口を斜めにして、2時間ほど水につけておきます。
2. 土をポットに入れる
水やりで土がこぼれないように、3cmくらい空けて培養土を入れます。
入れたら水をかけて土をしっかり湿らせてください。
3. 挿し穂の葉を調整する
6月~7月に挿し木する場合、葉は2~3枚だけ残して全部取ります。
残した葉も半分くらいカットしてください。
4. 発根剤を挿し穂に塗る
斜めにした切り口に発根剤を塗ります。
ペットボトルでも、発根剤は粉末でも液体でもどちらでも大丈夫です。
5. 土に穴をあける
割り箸などで、6cmくらい深さの穴をあけます。
密閉するために、真っ直ぐな穴が良いです。
6. 挿し穂を植える
挿し穂を6~10cmくらい深く植えて、枝が動かないように土を固めます。
もし複数本植えるなら、4cmくらい離して植えてください。
7. 水やりしてから閉じる
植えたら、ポットから水が出るまで水やりします。
その後、上部と下部を合わせてガムテープで密閉します。
8. 日陰で管理する
ポットは室内の明るい日陰で育てます。
土が乾かないように水やりしながら見守ってください。
桜の挿し木後の手入れ方法について
ペットボトルポットは上部をテープで閉じると乾燥しないので、水やり以外は密閉しておきます。
最初の4日間はポットから水が出るまでたっぷり与えて、だんだん減らしていきます。
透明な容器なので、根が出てきたら見えると思います。
3ヶ月目くらいからフタを少し開けて、外の空気に慣らしてください。
鉢に移す時期は、半年後くらいに株が大きくなってからにしましょう。
日陰で丁寧に管理すれば、育苗ポットよりも1ヶ月ぐらい早く発根することもあるそうです。
桜の増殖についての知識
桜の増殖について知っておいた方が良い知識を説明しておきます。
桜の増殖が困難な理由
まずは桜の増殖が困難な理由を知っておくと良いので、説明します。
桜の種類は多く、挿し木では根が出ない
桜にはしだれ桜や河津桜、ソメイヨシノなど、さまざまな品種があります。
しかし、これらの桜は挿し木で増やそうとしても根が出るのが難しく、他の植物よりも繁殖に苦労すると言われています。
接ぎ木で台木を使って増やすことが多い
挿し木ではなく接ぎ木で繁殖することが多いのは、そのためです。
接ぎ木では根がある別の植物を台木として使って桜を増やします。
挿し木に比べると接ぎ木は台木を準備したりするのに時間や手間がかかるので、家庭でやるにはちょっと大変です。
挿し木の利点
挿し木は、切り取った枝(挿し穂)と土の入った鉢やプランターなどの場所(挿し床)があればできる方法です。
自宅でやるには難易度が高いですが、「人気がある」方法でもあります。
挿し木は、簡単にできるという利点があるためです。
桜の増やし方は3つある
桜の増やし方は3通りの方法があります。
桜は種から芽を出したり、親株から切り枝を取って根を出したり、別の植物に切り枝をくっつけたりして増やせます。
これらの方法にはそれぞれメリットやデメリットがあります。
また、桜の品種によっても根が出るのが簡単だったり難しかったりします。
ソメイヨシノやヤマザクラなどは根が出やすいと言われています。
種で増やす
しだれ桜も含めて、桜は花の後に実がなります。
その実から種を取って芽を出す方法です。
種は自分で実から採らないといけません。
実が完全に熟して落ちるまで待ってから採ることが大切です。
挿し木で増やす
挿し木とは、親株から切った枝に根を生やす方法です。
根が出るのが早い植物に適しています。
挿し木は道具も少なくて簡単にできるので、接ぎ木よりも気軽に試せます。
接ぎ木で増やす
接ぎ木とは、他の植物に枝をつなげる方法です。他の植物が根付いているので失敗しにくく、「挿し木では根が出ない植物」や「弱い植物」に向いています。
しかし、他の植物を用意したりするのに時間や手間がかかるので、挿し木ほど簡単ではありません。
桜の挿し木で成功率を上げる方法 まとめ
桜は挿し木や接ぎ木でも、根が出るのが難しいと言われています。
時期を選んで急がず、桜とじっくり向き合うことが桜を増やすコツなのかもしれません。
草花みたいにすぐに花が咲くわけではありませんが、根気よくお世話をすれば、自宅で自分だけのお花見ができるはずです。
ぜひ、桜の木を育てる楽しみを味わってくださいね。
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